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 最上階に、ひとつだけ明かりが漏れているドアがある。あれが院長室だ。ノックもせずに開けると、パソコンのキーボードをたたく音が止まった。 「どうしたんだ、唯織」  長身の白衣が近づいてくる。そこに、崩れるようにして抱き着いた。ちょうど、相手の腰に顔を埋める格好になった。ああ、碧唯兄ちゃんの匂いだ。危険で蠱惑的な香りに、たまらなくぞくぞくした。  スラックスの布が邪魔だ。この奥に、僕の渇きをいやしてくれるものがある。渇望を叫ぶ本能に、ついに屈してしまった。  無我夢中でベルトをはずし、ズボンや下着をずらし、その奥にあるものと対面した。黒く脈打つ、狂暴なけだもの。あまりにもまがまがしくて、瞳孔がぎんぎんに開く。ごくりと溜まったつばを飲みこんだ。  
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