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「なにも心配せず、ゆっくり休んで。持ってきてほしいものや、してほしい事があったら、遠慮なく言って。あなたの力になりたいの」 「……っ」  晴美さんの純真さがまぶしすぎて、耳がつぶれてしまいそうだ。  ありがとう。  心配しないで、すぐに元気になるから。  晴美さん、愛してる。  言葉は次々に浮かんでくるのに。 ……なにも言えなかった。  中途半端に熱せられた身体は、さらにただれた欲望をむさぼり食うことを望んでいた。こんな醜い怪物を、晴美さんに知られたくない。二、三の短い応答をして、通話を終了させ、両手で顔をおおった。
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