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 『お前、また失礼なこと考えてるだろう』  ニヤニヤ笑いながら、晶の短い髪の毛を指先で弄ってくるこの色男は、晶の半身みたいな奴で、名をライコウという。  「まあ、ね。ひょっとして又死にかけてたか?」  『そうだ。あっちに行きかけてたな』  「ちっ。其のままにしといても良かったのに」  『・・・ そう簡単には此方に来させん』  晶の首筋をベロっと舐める色男。  「うひゃあ、止め~い」  生暖かい感触に、つい奇声を上げる晶。  「うーん、触感がハッキリしてるってことは、かなりヤバイ状態だったって事だよねえ」  『まあな俺に感謝しろ』  「ヘイヘイ、ありがとうございます」  そう言いながらベッドから起き上がり、頭をボリボリと掻きながら欠伸をする。  『色っぽくないな、一応お前の性別は女子だろうが』  「多分?」  『・・・・ はあ~』  晶は無理をすると生命力がすぐに下がり、俗に言う『あの世』と『この世』の境界線に近寄ってしまう。  晶の体質はご先祖様譲りで、元々が霊媒体質の家系なのだが、実家も其を家業にしている訳ではなく現代社会に馴染む普通の生き方をしていた。  父は大手企業の副部長だったが、去年ポックリあの世に逝った。母は事務員だったが、父の今生の引退と同時に生け花の師範の免状を生かして自宅で教室をやっている。父がいなくなったので自宅で過ごすのが楽しいらしい。兄はブラック企業の俗にいう社畜って奴だ。  祖母が存命で5人家族だった頃。  晶は小さい頃からおかしな子だと思われていて、3才まで全く喋らず障害があるのではないかと疑われてた。様々な分野の病院をたらい回しにされたらしい。  4才になり喋り始めたとたん、おかしな妄言を吐きはじめたと言われ、祖母が毎日毎日神棚に向かって、この子を真っ当にしてくださいと拝んでいたらしい。晶は全く覚えていないが。  
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