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明日は試験当日だ。
夜、晶はスマホの電源を落として、家の電話線も抜く。
「あーもう、やっとこさ終るよ」
『長かったな、今回は』
「来年から、この時期は仕事休む事にする」
『ふん。腹を括ったか? 』
「うん。もうね、子供を思うのは、勝手だけどさあ。怪我しない様に転ぶ先に座布団置くような親の尻拭いなんか、もうやだからさあ」
『そうだな』
「受験シーズンはずっと休みにする!」
腰に手を当てて、胸を張る晶をクスクス笑っているライコウ。
『えらく長いな、退屈しないのか?』
「ライコウがいるから大丈夫。他の英霊とか、神様とか、あと、アースアニマルとも遊ぶ事にするよ。暗い半年は他人の神事はせずに、自分の振り返りをするのに当てるよ」
『飽きないと良いな』
「飽きたら飽きた時の事さ。又考えるよ」
『そうだな』
ふわん、と暖かいものに包まれる。さあ、最後の仕上げだ。
「寝ないで朝までとか、もうね、無理」
『さてね、お前はお人好しだからな』
御祓は終わったから、後は、祈るだけだ。3日前から水しか摂っていない。
『死なさないから安心してろ』
「アテにしてるよ」
晶が目を閉じると、ライコウの口付けの気配を感じた。
合格者発表の当日の2週間後、依頼主に呼び出された。
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