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Ep.2『奪われ手に入れ』
「おい、ジルはどこだ?今日は鍵奪りの日だぞ。」
鍵奪り─。二日体制で行われる寮長への下剋上の儀式の一環。初日は鍵奪りと言われ、寮長、別名シュロスに直々に選出された副寮長、別名シュリュッセルとの戦いの日。
イエローヤーのシュリュッセルである彼は広場を見渡したものの、それらしき姿が見当たらず眉をひそめた。
他寮の生徒に自分の寮の生徒。黄色の寮服をまとう者を一人一人見つめるが、挑戦者であるジルの姿が見えなかった。
「先輩〜。どこ見てるんですか?」
「は?」
「……時間通りに到着しましたよ。問題はありませんよねぇ?」
「………両者、礼。…構え。」
二人の間に立つ教師が大股で後ずさる。そして叫ぶ─。
「始めっ!」
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