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「待って。」
「ひっ…。」
「一つ、教えて、あの子は何をしたの?どうして、連れ去られているの?」
「わ、分からない…。」
「………そう。ありがとう。彼女、貴女の友達?」
「う、うん…。いつも優しくしてくれてて…。」
「………なるほど。ちょっと、連れ戻してくるわ、あのクズ共から。待ってて。」
バートリーは、踵を返して、フードを被った彼女が連れ去られた方へと歩を進める。
─確か、そっちは人気がない…。なるほど、人気がないからこそ…。悪質ね。…反吐が出そう。─
遠くから、鈍い音が聞こえる。きっと殴られて、蹴られているのだ。
精神をシアンクレスト生が身体をマゼンダモノポリー生が追い詰めているに違いない、とバートリーは感じた。真紅の冬用の上着の裾をはためかせて、廊下を駆ける。足音が響くことなどどうでもよかった。ただ、何の罪もない人間を助け出したかったのだ。
鈍い音が近くで聞こえる─。
─あの、突き当たり…?─
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