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「みんなに…迷惑かけちゃう…。私のせいで…シュロスとシュリュッセルを怒らせたら……ダメ…。みんなに…暴力が振るわれ………。」
「………ですよね。」
「もう…痛くなりたくない…。」
彼女の傷が瞬く間に癒えていく。肉を弱火で焼いているような音と共に。彼女の真紅の目が恐怖の色に染まっていた。
おそらく、パニック状態に陥っているのだろう、とバートリーは思った。それと同時に何かが疼いていた。
バートリーは手を伸ばして彼女の頬を撫でながら屈む。
「ねぇ。貴女、名前は?」
「み、ミラビリス・ルナ・シェイネ。」
黒い瞳がこちらを見据えた。
─黒……?赤い目なんじゃないの…?─
「……貴女、目の色が変わるの?」
シェイネが慌ててフードをかぶって顔を隠そうとするのをバートリーが止めた。シェイネはフードから手を離し大人しくなってしまった。抵抗をする素振りが見られない。シェイネは黒い横髪をくるくると指で巻き取り、黙ったままだ。
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