Ep.1『潜在意識』

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「みんなに…迷惑かけちゃう…。私のせいで…シュロス(寮長)シュリュッセル(副寮長)を怒らせたら……ダメ…。みんなに…暴力が振るわれ………。」 「………ですよね。」 「もう…痛くなりたくない…。」 彼女の傷が瞬く間に癒えていく。肉を弱火で焼いているような音と共に。彼女の真紅の目が恐怖の色に染まっていた。 おそらく、パニック状態に陥っているのだろう、とバートリーは思った。それと同時に何かが疼いていた。 バートリーは手を伸ばして彼女の頬を撫でながら屈む。 「ねぇ。貴女、名前は?」 「み、ミラビリス・ルナ・シェイネ。」 黒い瞳がこちらを見据えた。 ─黒……?赤い目なんじゃないの…?─ 「……貴女、目の色が変わるの?」 シェイネが慌ててフードをかぶって顔を隠そうとするのをバートリーが止めた。シェイネはフードから手を離し大人しくなってしまった。抵抗をする素振りが見られない。シェイネは黒い横髪をくるくると指で巻き取り、黙ったままだ。
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