第3話 オタクスイッチが入った

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第3話 オタクスイッチが入った

 「と、とにかく()()()!あんたをここから出してあげるわ!感謝しなさい」  少女の一言に巡は反応する。  「あれ?なんで…俺の名前知ってんの?」  巡の言葉に少女は動揺する。  「あー、えっと…それは。…なんかそんな感じしたのよ!麻道巡って顔してんのよアンタ!」  「勘でフルネーム当てるとか、運がいいとかそんなレベルじゃないぞ」  明らかに何かを隠している少女の様子ではあったが、何か悪気があってしているわけではないことを不思議と巡は直感で感じた。  「わかった。別にそこについては詮索しない。とりあえず助けてくれ。早く帰って【マジパテ】見ないといけないんだ」  「は?まじ…ぱて?」  少女のそのキョトンとしたその反応に、巡のオタクスイッチが入った。  「【マジパテ】を知らない!?【マジカルパーティアン】っていうアニメだよ!あ!話のあらすじはね、手島(てじま) (はる)っていう中学2年生の女の子が、みんなからはパルティってあだ名で呼ばれてるんだけど、その子がある日魔法界(マジックタウン)からやってきたマジルっていう妖精と出逢うんだ。そして、そのマジルから魔法界が魔獣餓(まじゅうが)っていう奴に支配されていることを聞くんだ。このまま魔獣餓を放っておくとパルティ達のいる人間界にも影響が出てくるからマジルは魔法少女になってくれる女の子を探しに人間界に逃げてきたの。そしたら、パルティが1000年に一人の魔法の才能の持ち主だったことがわかるんだよ!そこから魔法少女になる契約をして、少しずつ仲間を集めていって協力していくんだ。なるべくネタバレしないようにするけど、1期の最終回でようやく魔獣餓を倒すんだけど、なんと2期の第1話で前回倒した魔獣餓が偽物だったってことがわかるんだ!それも1期の中盤からちゃんとセリフに伏線があって…」  「うっるっさぁぁぁぁぁぁいっっ!!!!!」  巡の熱弁に嫌気がさしたのか、少女は大声で巡を制止する。  「………………」  息を荒くし、巡を睨む少女。  「………………でさ!その伏線っていうのが」  「まだ続けるっ!?噓でしょ!?ちょっとちょっと!ストップ!!」  少女が再度話を遮ると、巡はどうしたの?というようなポカンとしたような顔をしている。  「何その顔、腹立つ!『なんで俺の話止めるの?』みたいな顔してんじゃないわよ!いつまでベラベラ喋ってんのよ!」  「いや…【マジパテ】が何か知りたいっていうから…」  「都合のいい記憶作り出してんじゃないわよ!一言も言ってないし実際興味もないわ!!あんたここから出たくないのっ!?」  巡はその言葉にハッとする。  「あ!そうだった!早くこっから出て【マジパテ】見ないと!」  「わかったら黙って助けられなさいよ」  少女はため息交じりにそう言った。
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