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「本当はまだ内緒なんですけど・・・」
みんなの注目の中、ノアは恥ずかしそうに小声で言った。なんでもまだ安定気前なので、みんなに言うのはちゃんと安定期に入ってからにしようと思ってたらしいのだけど、なんだか話の流れ的に言ってしまったらしい。
もしかしてマスター達よりも早く知ってしまった?と一瞬焦ったが、身内にはちゃんと報告してあったとのこと。ちょっとほっとした。
だけどオレの妊娠と共にノアの妊娠も分かった店内は完全にお祝いモードに入り、しばらく常連さんたちからのお祝いの言葉が飛び交った。
そんな一日を終え、帰ってきた当麻にその事を報告すると、当麻はほらね、と言ってオレを抱きしめた。
「大丈夫だったでしょ?」
オレの一番安心する場所で、オレはその身を預けながら頷いた。
「今度当麻のことも紹介しろって言われた」
当麻はいままで、オレの立場を気遣って店の方に来たことがなかったのだ。
「今度の週末に顔出すよ」
常連さんは週末も関係なく来るから、きっと会えるだろう。
「質問攻めにされるね」
「覚悟しとくよ」
そう言って微笑む当麻にオレも微笑む。
大好き。
当麻の温もりと思いに包まれて、オレの涙腺はまた緩んでくる。
そんなオレの涙を当麻はその唇で吸ってくれる。
「大好き」
今度は声に出して言うその言葉に、当麻も答えてくれる。
「僕も好きだよ」
オレたちはしばらくそうしてお互いの思いを確かめ合った。
了
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