takuma 2

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それが何を意味しているのか分からないわけじゃない。 だけど・・・。 「日本に来たばかりでまだ大変だし・・・」 「大丈・・・夫っ」 心配で出たオレの言葉を、ノアが遮る。 「大丈夫ぅ・・・」 言葉も分からず知り合いもいないこの日本で、ノアにはきっと想像もつかないほどのストレスがかかっているだろう。いくらオレがいるからといって、毎日ずっとそばにいてやれる訳では無い。きっと不安でいるはずだ。なのにそこへ妊娠などしたら・・・。 ノアがずっと子供を欲しがっているのは知っていた。だけど、慣れない国に一人でいる不安に加えて妊娠で心が不安定になったら、きっとノアはもっと苦しむことになる。 「タク・・・マ・・・ァ」 発情期で辛いはずなのに、それを堪えてノアはその潤んだ目でオレに訴える。 「ノア」 本当はオレだってノアとの子が欲しい。愛する人に自分の子を生んでもらいたいと思うのは当然だし、身近に今まさにその幸せの絶頂にいる二人がいる。そんな二人を見ていたら、自分も欲しくなるのは当然だ。 ましてや真琴とずっと一緒にいるノアは、オレよりももっと欲しくなってしまったのだろう。 もともと初めから子どもを望んでいたのは分かっていた。だけどそう焦らなくてもオレはもうノアのそばを離れるつもりは無いし、新しい生活にノアが慣れてからでもいいと思っていた。 でも、発情して辛いはずなのにここまでしてお願いされると・・・。 いつもならとっくに意識を飛ばしているはずなのに、ノアは懸命にその意識を保ってオレに訴える。その姿に叶えてやりたいと思った。 「約束だ、ノア。辛くなったり無理だと思ったらすぐにオレに言うんだぞ。我慢しない。オレに嘘をつくな」 オレは以前ノアの笑顔に騙された。もうそんな間抜けたことをするつもりは無いが、ノアが少しでも辛い思いをするのはオレが許せない。 その思いが伝わったのか、発情で浮かされながらも必死に頷くノアから真剣な思いが伝わってくる。この姿に、オレは再びノアに覆い被さるとその唇にキスをし、耳元で囁いた。 「コウノトリにお願いしよう」 そしてオレはそのまま一気にノアの中に身を沈めた。びくびく身体を震わせていたノアはその衝撃で一気に意識を手放し、そのすべてをオレに委ねる。完全に発情に入ったノアは本能のままにオレを求め、オレはそれをできる限り与え続けた。 発情したノアが満足するようにその身に何度も己を打ち込み、精を中に流し込む。そして最初の波がようやく去ろうとしている時、まるで中のものが流れ出ないように穿ったままのオレを締め付けたまま、オレの腕の中でその目を開けてノアが笑う。 「コウノトリさん。来てくれたかな?」 そんなノアが愛おしい。 「まだ来てなくても、これからたくさんチャンスはあるよ」 まだ繋がったままのノアを抱きしめ、その髪を撫でてやる。まだ最初の波が去ったばかりだ。これからあと何度か来る発情の波で、オレたち二人が望べばきっと来てくれるだろう。 「大好き。タクマ」 ふわふわ笑ってそう言うと、ノアはそのままオレの腕の中で目を閉じた。発情期はかなりの体力を消耗する上に長丁場だ。オレはそんなノアの髪を眠りに落ちるまで撫で続けてやった。 ノアも子も必ずオレが守る。 だから安心してオレたちのところに来い。 そう思いながらノアの腹を撫でたオレも、しばしの休息をとるために目を閉じる。 その後無事にコウノトリがオレたちの元に来てくれたかどうかが分かるのは、まだしばらく先のこと。 こうしてオレたちはこの後、思う存分高級ホテルを満喫して、満足のうちに発情期を明けることが出来た。 ちなみにベッドの上でほとんどを過ごしたノアが、この部屋からの最高の夜景を見れたのは、ここに来て5日目のこと。今回は直接ノアの中に挿入ったので、発情期が早めに終わったのだ。
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