toma 2

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別荘に来て2日目の午後。 眠そうにしていた真琴を昼寝させ、リビングでみんなでまったりとしていると車のエンジン音が聞こえてきた。 「あら、おみえになったかしら?」 そう言って立ち上がった母に続いて父も立ち上がり、二人は揃ってお客様を出迎えに行った。 「父さんのお兄さんてことは伯父さんだよね」 と言ってみたものの実感がない。それは兄もそうなのか、兄も複雑な顔をしている。そもそもなんで今まで付き合いがなかったのか。それがどうして急にまた会うことになったのか。 『めんどくさいことが解決した』 母はそう言ってたけど、めんどくさいことってなんだろう? そんなことを思っていると、やっぱり伯父一家だったのか、玄関から賑やかな声が聞こえる。そしてその賑やかな話し声とともに足音が近づいてきた。 「聡史さん達がいらっしゃったわよ」 そう言って母がリビングのドアを開けて入ってくる。 普通に『聡史さん』て言ってるけど、伯父さんだよね? 母はいつも説明が足りない。それは自分がアルファで全てを聞かなくても理解出来るからと、僕達もアルファだから当然分かるわよね?と言う無言の圧だ。その証拠に昨日から一緒にいる真琴や伊月さんには丁寧に説明している。 今まで家族でしか過ごしたことがなかったから分からなかったけど、案外ちゃんとしてる人なんだ。 などど(失礼にも)昨日感心したっけ。 そんなことを思いながら入ってくるお客さんを立ち上がって出迎えていると、父と面影が似た人が入ってきた。 この人が聡史さんか。 背が高くて一見アルファかと思ったけど、フェロモンを感じないからベータみたいだ。 次いで入ってきた人は奥さんかな?綺麗な人。この人はオメガだね。 ベータとオメガのご夫婦なんて珍しい。 それから・・・これはまた綺麗な子だね。 黒い髪と黒い瞳は真琴と同じだけど、全く違う美人さんだ。 真琴が西洋人形ならこの子は日本人形。 やっぱりこんなに綺麗だとオメガだよね。 この子が息子さんかな? そう思いながら最後に入ってきた人を見て驚いた。 芸能人・・・! それは僕でも知ってる超有名人モデルのTAIGAだった。 本物? それとも似てるだけ? でもあの半端ないオーラはやっぱり本物だよね? 芸能人には本当にオーラがあるんだなと驚きながら、彼の圧倒的な力を感じる。 アルファとしてもすごい力だな。 こうやって見ると、伯父たちの息子はTAIGAの方だ。と言うとこっちの美人さんはTAIGAの奥さんかな? 少し前にTAIGAは結婚報告をしている。その時に恋人が妊娠したと言ってたからこの子が妊娠した奥さんかもしれない。 そんなことを思っていると、母によってお客さんの紹介が始まった。 TAIGAはやはり伯父夫婦の一人息子の大雅くんで、オメガの子は大雅の奥さんの歩夢くんだった。歳は共に僕よりも4つ下で22歳。それにしても大雅くんの歩夢くんに対する警戒がすごい。 ざ・芸能人という爽やかな笑顔なのにその笑顔の下で僕と兄に対して威圧をかけてくる。 さすがに父への警戒は無いものの、僕の嫁に手を出すなよ感が強い。確かに既に番がいても、アルファは他にも番が持てるから分からなくもないけど・・・。 僕達はそれぞれ奥さんにベタ惚れだから大丈夫だよ? と言ってあげたいけど、器用にピンポイントで僕と兄に向けられているので、何も気づいていない両親の前で言うのはちょっと・・・。 隣でも兄が困ってる気配がする。 するとそこにお昼寝から覚めたのか、真琴が顔を出した。 「すみません、遅くなりました」 そう言って入ってきた真琴はすぐに大雅に気づいたのか、驚きの顔をする。 さすがに有名芸能人がいて驚いているのかと思ったら、見られている大雅も驚きの表情をしている。 「大雅」 「真琴さん・・・?」 ほぼ同時に呟かれたその言葉に、母が素早く反応する。
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