二年目、五月三十一日

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二年目、五月三十一日

梅雨入り宣言された翌日は、曇りだった。 最近できなかった外出もできる、と俺は嬉しかったけど、彼女は反対に、不満げだった。 「雨が降ってくれたらよかったのに……」 それは俺と、一緒に外出するのが嫌だったってことだろうか。 不安が過り、握ろうとした手を下ろす。 「……私ね、雨に当たりたかったの」 雨に当たったらまた風邪を引いてしまう。 なのに彼女はもう一度、雨に触れたい、と呟く。 「だってさ、私……ずっと外に出てないでしょ。だから、少しくらい自然に触れたいんだよ」 ぎゅっと、同時に手を握られて、目を見開く。 彼女はニッコリ笑って、腕を引いた。 「でももちろん、雨じゃなくても楽しいよ」 ああごめん、と俺は口元を隠した。 それからチラッと空を見上げて祈る。 雨よ、降れ。
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