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五年目、十二月二十日
彼女が発作を起こして急遽入院することになった。
今は俺の目の前で、静かに寝息を立てている。
「あの……」
看護師さんがおそるおそる、カーテンに手をかけたまま、言う。
「少し、休まれた方がいいかと……」
その申し出に、首を振った。
迷いながらも立ち去るその人に頭を下げ、俺は彼女を見る。
さっきと変わらず、その瞼は閉じられている。
ふと、ベッドサイドテーブルに置かれた、カラフルな紙袋を見た。
『もしも、クリスマスの日も眠ってたら、その時に見てね」
はあ、と息を吐く。
一人起きている静かな病室は、酷く寒く感じた。温度調節はされているはずなのに。
ただ、早く起きて、と切に願う。
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