田島という存在

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 恵雨は田島との結婚について、舞い上がっています。田島は実は母のためであり、恵雨については田中よりは愛してはいないのですけれど、実際に恵雨と関係を持っていたのですから、どうしようもなりません。挙式は母のいるホスピス近郊の、小さな式場で挙げることになりました。 ______恵雨と田島の結婚式  天候はあいにく雨でした。しかし実は縁起の良いことかも知れません。恵雨の職種柄式は内密に執り行われます。 ______控室  恵雨は喜んでいたのに対し、田島は表情には決して出しませんが、外の天候のごとく泣いていました。  田島母「息子の結婚式を見られるなんて、ほんと親孝行者だよ。頑張って。」  何も知らない母が励まします。そう全てこのために田島は頑張ったのですから、何も恥じることはありません。 ______結婚式場  田島が入場し、聖壇前で恵雨を待ちます。  恵雨の父はいませんので、代わりに鈴木にエスコートされながらバージンロード歩み、田島の元へ急ぎます。  一同との唄声と賛美歌の曲が流れムードは満点です。 鈴木は田中をこの場に呼ばなかったようです。  「今ここに純粋なお二方がおられます。この奇跡を共に。」  「なんじ、田島は恵雨を愛して、生涯ともに過ごすことを誓いますか?」  田島「誓います。」  「それではなんじ、恵雨は田島を愛し生涯を尽くすことを誓いますか?」
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