D on B

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D on B

俺の名前は田中、番組のDである。 頭を抱えているが、仕事柄他人から頼られることが多い。今日は引っ越した過程について語っていこうと思う。 ______スタジオ現場  「田中さんこの案件どうしましょう?」  と声を掛けてきたのは、作家の鈴木だ。  現場を掛け持つことが多いため、調整を入れるのも俺の仕事だ。  今日は現場であるスタジオに学生が来ている。彼らは将来この仕事をやることになってはいる。実はそれは表向きで、大半は雑用でこき使われ捨てられていくのである。  その後は別な業界へ旅立つので、俺は余り関わりを持たない。  鈴木「ここに置いておくのでチェックお願いします。」  作家の鈴木はまだ幸運な方だ。俺は学生に目を向けて、軽く愛想良く振る舞う。 ______少し前の出来事  「田中ぁ、パン買って、こいや!」  そんな中で声を荒らげるのは、役者のBだ。俺は彼を見下して、心の中でパンツと呼ぶことにしている。少しだけだが、せめてもの抵抗だ。  田中「買ってきました。」  パンツ「いつもトロいんだよ。田島を見習え。」  田島は俺より少しだけ若く、少しだけ後から入ってきた後輩である。後輩を見習えと、冷やかしい半分パンツは言った。  田島「僕の方が後輩なのに、いつもすみません。」
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