ロンドンでの手術

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ロンドンでの手術

「田川様、お休みのところ申し訳ありません。間もなくヒースロー空港に着陸します」  その声に目を開くと、CA(客室乗務員)が優しい笑顔で見つめていた。  その時、私はロンドンに向かう極東航空の機内に居た。ウクライナ戦争で日本からの欧州便はロシア領空を飛ぶことが出来なくなり、通常は十二時間で到着するロンドンが南回りの経路で十八時間も必要だった。その長いフライトもやっと終わる。  機体はロンドン市街を右手に見ながら降下を続けている。ロンドン市内を蛇行して流れるテムズ川に反射した光がキラキラと輝いていた。  そう、私はロンドン警視庁(スコットランドヤード)に呼ばれて、日本から飛んで来たんだ。武器商人(マフィア)の命を救う為に。
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