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日本からの呼び出し
手術の翌日、私はヒースロー空港の出発ゲートに居た。帝国大学の安村部長から呼び出され、明後日の緊急手術を日本で執刀する事になった為だった。私の才能を買ってくれて呼び出されるのは医者冥利に尽きるけど……。
「……もう少し、ゆっくりしたいわ」
そう溜息を吐いた時に、私のスマホが鳴った。
「はい、田川です」
「ロンドン警視庁のアンダーソンです」
それは私を日本から呼び寄せた警部だった。
「お陰様でオルロフは先ほど目覚めました。後遺症もなく経過は良好の様です」
「それは嬉しい報告ですね」
「彼の命を救ってくれて感謝します。これで彼を罪に問う事が出来ます」
電話を切ると出発ゲートに駐機している極東航空の機体を眺めた。この飛行機が私を日本まで運んでくれる。また十六時間の長旅だ。
「機内では寝れると良いけど……」
日本でのタフな手術をイメージしながら、私はそう呟いていた。
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