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しかし瑞季は薄く笑みを浮かべたまま、「半々ってところだな」とあっさりと躱し、視線を逸らした。
その反応に、あ、これ絶対、嘘だ、と確信した香心は、ガーン……とショックに打ちひしがれる。
――やっぱり童顔だから? 身長が低いから? 胸もそんな……だから?
見た目の欠点ならば、思い当たることは山ほどある。だからといって、数え上げたって仕方ない。その分、性格で補えばいい。――これまで何度、そう思い、奮い立たせてきたことか。
それでもやはり、自信なさげに下がっている眉と目尻だけは、気持ちだけではどうにもならなかった。人間関係で上手くいかなくなるときは、大抵これが原因だ。
――特に恋愛関係……
呟き、内心ひっそりとため息をつく。
『何に不安がってるの?』『そうやって抱え込むばっかりで、頼られてる気がしない』――優しくて包容力があって、香心の全てを受け入れてくれた人も、結局、最後はそんな言葉を残して離れていってしまった。
――分かってる。自分のせいだって……
自信がないのは自分のせい。コンプレックスばかりに囚われて、あと一歩を踏み出せない自分のせい。
ほんの意地悪程度の冗談と分かっていても、思わぬ場面で自己嫌悪に陥ってしまい、苦しい。
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