現実

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*** 「行ってきます!」  いつもと違う朝が来た。体は軽いし、この上なく動く。目を開けるだけでうんざりするだけの人生とはまるで違う。 「えっと、どこに行くんだけ?」  携帯を開き、昨日教えてもらった通りに行動をする。自由に動く体で前とは違う楽しい人生にする。そして二人のために生きる。  ……はずだった。 「やっといてってお前に言ったよな?ちゃんとやり方まで説明して」 「すみません、忘れてました」 「あのなあ、ここは学校じゃねえんだよ。社会じゃあそんなのは通用しないわけ。分かる?」 「はい。すみません」 「もういい。戻れ」   僕のせいじゃない。準備していなかったあいつが悪いんだ。 「どうした?珍しいな」 「あ、いや、すみません」 「なんで敬語?」  慣れない環境に右も左も分からない世界。ストレスと疲れだけがひたすらに溜まっていく。 「ただいま」  本当に一日しか経ってないのか?そんな疑問とともに家のドアを開ける。真っ暗だ。まだお母さんは帰って来てないのだろうか。  冷蔵庫を開けても何もない。お母さんが買い物でもしてきてくれると信じてお風呂の準備でもしよう。 「ただいま」 「あ、おかえり」  帰宅したお母さんの手には何もない。 「今からお風呂の準備はするけど、ご飯はどうするの?食べに行く?」 「今日はバイトは休みなのかい?」 「え?バイト?」  一日中仕事してやっと帰ってきたところなのにバイト?今から? 「早くシャワー浴びないと時間なくなるよ?」 「早くって、ゆっくりする時間もないの……?」 「自分で決めたことでしょう?」  お母さんは少し悲しそうな顔でそう答えた。
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