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やっと寝ることができると思ったのも束の間、ふらふらの体でバイト先であるコンビニに向かっていた。
バイトは何時まであるのだろう。明日も朝から普通に仕事はあるのに。
「お疲れ。珍しく今日は時間ギリギリだったね」
「ギリギリ……?」
もうすぐバイトが始まる。夜勤は基本的に一人だからもちろん寝れる時間なんてない。
「コーヒー淹れといたから飲みな?」
「……ありがとうございます」
コーヒーと食べていいと言われた廃棄のおにぎりを胃の中に流し込む。
「じゃあお疲れ」
「お、お疲れ様です」
夜のコンビニ僕一人。誰にも頼れない上に全部一人でこなさないといけない。
『自分で決めたことでしょう?』
お母さんの言葉が頭に浮かぶ。
あいつは自分でこんなにも大変な人生を選んだんだ。たった二人でお金を稼がないといけないから、お母さんだけに無理を強いらないように。僕の治療費を稼ぐために。
決意が揺らぐところだった。あいつはこんなに大変な生活を僕のために送ってくれていたというのに。二人に恩返しをする。その決意だけで今は十分だ。
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