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弟は俺と変態男を交互に見て、絶句した。当然だろう。素っ裸の兄と男がいて、兄は股間を枕で隠し、男はベッドの下に転がっているのだから。
弟は頑張って状況を理解すると、騒ぎが外に漏れないように扉を閉じた。
俺はその時、弟は俺のことを庇ってくれるのだろうと信じて疑わなかった。助けが来た、変態男に犯されずに済む、とばかり思っていた。
しかし弟はギロリと俺の方を見ると、冷たく、そして厳しく言い放ったのだ。
「隼斗、またやってんの? 激しいのをするなら静かにやってくれる? 俺の睡眠の邪魔をしないで。」
いつも元気に笑っていた弟の姿はなかった。いつも健気で、人一倍努力家の弟ではなかった。俺のことを兄ちゃんと呼ぶ、可愛らしい弟はいなかった。
そこにいるのは、俺のことを兄と呼ばない、冷たい目をした悪魔だった。
「そっ、そんな…!」
俺はうろたえる。けれど弟はそんな様子の俺のことなど気にせず、ゆっくり扉を開くとパタリと静かに扉を閉めて、どこかへ去ってしまったのだ。
──弟に、捨てられた。俺のとても大事な人に。
「というわけで、鷹野。続きをしよう?」
俺は大好きだった弟の裏切りがショックで、もう何も考えられなかった。変態男は俺を見て鼻息を荒くすると、枕をどかして、再び俺を押し倒す。
もう考える気力すらなかった。変態男は自身のアレを表面にこすりつけると、ズルリとナカへ入ってくる。けれど俺は抵抗しなかった。
「うっ、あ…っひ、」
初めてのはずなのに。男に犯されるだなんて、今まで体験したことがなかったはずなのに。この押し寄せてくる快楽は終わらない。
「うん、鷹野可愛い。もっと激しくしよっか」
俺はまな板の上のコイだった。されるがままにされて、無意識で喘ぐ。もうどうでも良い、このまま変態男と最後までヤってしまえば良い。と、自暴自棄に陥りながら。
俺は変態男に犯され続けながら、知らず知らずの間に意識を飛ばしてしまったようだった。
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