その後の俺らはというと…

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♢♢♢♢♢♢♢ 「いっぱい感じながら俺のを離さなかったでしょ。あの時みたいに可愛い光兎さんを見たいです。実は今朝の触れ合いで我慢してて…ダメですか?」 「…っ」 光兎さんは酒の所為で既に頰がほんのりと赤らんでいたが、今の言葉で耳や首まで赤くなっていった。こんな少しの変化でも可愛いを更新している。 最後まで光兎さんと身体を重ねた夜のことを意識してくれた事が見て分かった。そして自分がとことん狡い男だと再確認する。そう言えば光兎さんは俺の提案を少しでも考えてくれるって言葉をそのまま我慢せずに伝えてしまった。 光兎さんの上司とキャバクラの店に光兎さんを取られた気分になり、嫉妬して勝手な行動した。それでもどうにかして目の前の愛おしい人には俺だけしか見てほしくないし、俺だけを選んでほしいと身勝手なことを願ってしまう。 「…ちょっと待った」 光兎さんはすぐさま肩を押し返してきたが、押し返す気があるか分からないくらい弱い力だった。 こんな時でも、もしかして満更でも無いのか?なんて都合の良い解釈をしつつ、自然と笑みがこぼしながら「待ちます」と返した。 「流石に外で18禁な雰囲気出すの禁止な」 「……出してましたか?」 18禁な雰囲気とは何なのか聞きたいところだが、初夜を思い出させるようなことを此処で言うなと言いたいんだろうな。 「出まくりだ。キャバクラ中が大騒ぎになるし、人によっては倒れちゃうぞ」 「倒れるって。でも確かに場所は弁えなきゃですよね」 そんな雰囲気を出すなら、それを受け止めてほしいのは光兎さんしかいないのに。 「そうだよ。…だから、その賭け事乗った。俺も勝ったらお願いしたい事があるし」 「……えっ」 予想外の返答に目をギョッと見開いてしまった。 どこか落ち着かない様子で目線を斜め下に逸らし、なんとも言いにくそうな表情をしている。可愛い。可愛いけど、一体どんなお願いなんだろうか。 ………もしかして別れたいとかじゃないよな? 無い。それは絶対無い。ゲームの条件で出すはずない。……って、自分がそう思いたいだけだ。俺からは絶対に別れを告げないし、光兎さんから言われても受け入れない。なんて言ってしまったけど、これが現実に起きたら? もし光兎さんが別れたいって訴えてきたら俺はどんな答えが出せるんだろう。受け入れないのは俺が思っていることだけど、その時に光兎さんが苦痛の顔をしていたら分からなかった。それは一番させたくない顔だからだ。 あまりにも叶わないかもしれないと思っていた夢のような幸せを手に入れたら、ほんの少しの不安だけでもネガティブ思考に陥りそうになる。片想いが通常運転だったから光兎さん関連だとポジティブに切り替える方が難しいな。 光兎さんと離れる以外のお願いなら何だって聞いてあげたいのに。 「奏良君?大丈夫か?」 驚いたまま固まっていたからなのか、光兎さんが心配そうに覗き込んできた。そして流れるように覗き込んできたままの状態で両肩を固定するように掴んだ。 「光兎さんがお願いしたいことって何ですか?」 「そんな真剣な顔だと言いにくいな…今言わなきゃダメか?」 本当に言うのが気まずいと言いたげに苦笑いを浮かべていたが、ほんの少しだけ瞳が揺れ、照れて口元が緩んでいるのが分かった。 その表情からネガティブな思考から一気にポジティブな思考に変わっていく。ポジティブに切り替わるのが難しいって言ったのは誰だ。光兎さん相手だと表情や声色も少しの変化でも気づいてしまうくらい見ている所為だった。 「どういった願い事か少しだけ聞いていいですか?」 「…………え、エロいこと」 耳まで真っ赤にしながら小さく呟いた光兎さんに、雷に打たれたらこうなるのかもしれないってくらい身体の隅から隅まで電流のような衝撃が走った。 エロい…こと?光兎さんの願い事、エロいこと? そんな光兎さんの衝撃に耐え切れるわけがなく、力尽きるみたいに崩れ落ちた。そして身体を支えるために両手を付いたことで既に試合で負けた人の格好みたいになってしまった。 「わー!言えって言ったの奏良君だろー!大丈夫か!?」 上から光兎さんの声が聞こえるけど、俺、鼻血出て無いかな。もう出ててもいいや。だってこの人には一生敵わない。このまま可愛いを貫く勢いで俺を崩れ落としてほしい。
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