3つの作戦

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3つの作戦

 ヤブにこ先生が目覚めた時、戦況は、ますます激烈を極めていました。  子どもたちと、その母親が集まって避難していた劇場にミサイルが撃ち込まれ、何千羽のカラスが瓦礫の下に閉じ込められてしまったのです。  『子どもたち』『病院』と明記してある施設を敢えて狙ってミサイル攻撃して来たのです。  ヤブにこ先生は、アカルイナ公爵に戦略を伝えました。 「ぶ〜ちゃんは悪魔です。悪魔と戦うために、3つの作戦を考えました。一つ目の作戦は『替え玉作戦』です。アカルイナ公爵に、そっくりな替え玉とAIを集めて下さい。ぶ〜ちゃんの替え玉となるブタやAIも準備して下さい。それから、世界の主だった国の首脳と大企業の社長たちの替え玉も準備してください!それと、替え玉ではありませんが、ぶ~ちゃん大統領好みの美しいメスブタを集めてください。」 「わかりました。私の替え玉は既に2人はスタンバイしています。危険な地域への視察などは替え玉に行かせています。ぶ〜ちゃんの替え玉は考えていませんでした。確かに奴の替え玉がいれば、いろいろに使えるな。その上、世界の主だった国の首脳の替え玉とは!実に面白い発想です。」 「2つ目の作戦は、動物や昆虫や植物、超能力者など僕の親しくしている患者さんたち無数の仲間に協力してもらう『地球の神秘作戦』です。先程、耳元でぷ〜んと協力を申し出てくれた蚊に、その事は伝えましたので、今頃は、世界中の蚊、蟻などのネットワークで地上に住むあらゆる動植物に協力要請が伝達されています。」 「そ、それは素晴らしい!世界中の動植物を味方につけるとは! ヤブにこ先生以外には、そんな事できませんな。」 「季節的には、多くの花粉が蔓延する時期でもあり、絶好のチャンスです。超能力者の中には風を操れる者もいます。大きなブタの鼻の穴に大量の花粉を吸い込ませてやりましょう。」 「ウヒョ〜!!なんだかワクワクしてきました。頑張り抜けそうな気がしてきました。」  アカルイナ公爵は飛び上がって喜んだ。 「蚊や蟻の威力も捨てたものではありません。彼らの1匹1匹は小さくても莫大な数の仲間がいるからです。」 「な、なるほど。敵にまわすと実に恐ろしいですな。数もすごいけれど、彼らの大軍は密かに集まって来ても敵のレーダーには感知されないのでしょうな。あははは!これは面白くなってきたぞ!」 「コウモリやヘビやカエル、スズメバチ、カタツムリ、鳥、魚など人間の血を吸ったり、猛毒を持つ仲間たちも大勢います。彼らは普段、特別な理由もなく人間を襲うことはありませんが、彼らに特別な理由を伝えることのできる超能力者がいるのです。実際に、毒を使わなくとも、彼らが大群で押し寄せれば兵士たちを混乱させることは簡単です。」  アカルイナ公爵は、黒い顔の羽毛に生気を輝かせて叫んだ! 「よ〜し!今に見てろ。ブタ野朗め!ヤブにこ先生、ありがとうございます。やっぱり、ヤブにこ先生を呼んで正解だった。我々は、世界を味方につけたも同然だ。」 21d9b23d-4639-4876-8b36-6bfe32f5aa99
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