『替え玉作戦』『地球の神秘作戦』『音楽作戦』

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『替え玉作戦』『地球の神秘作戦』『音楽作戦』

「ところで、もう一つの作戦は?」 アカルイナ公爵はない首を長く伸ばして、ヤブにこ先生に尋ねました。 「アカルイナ公爵は素晴らしい美声の持ち主ですから、歌は得意でしょう?」 「はあ、まあ、カア~カアカア〜〜」 「3つ目の作戦は『音楽作戦』です。音楽は固く凍り付いた心をやさしく溶かしてくれます。」 「そうかもしれませんが?!」 「爆撃の音がすべて交響楽の音に聞こえたなら?!銃の音が小鳥の鳴き声に変わったら?!どうなるでしょう?」 「イヤ、その、そんなことが、できるのでしょうか?」 「みんなで力を合わせれば、必ずできます。僕は、たとえ、ぶ〜ちゃん大統領といえども命まで奪いたいとは考えていません。ぶ〜ちゃん帝国の兵士たちにだって愛する家族や恋人がいます。危険な戦争が1日も早く終わることを、実は誰もが祈っているのです。もしかすると、ぶ〜ちゃん大統領自身も、戦争を終わらせたいと思っているかもしれません。ただ、もう、どこでどう決着をつけていいのか、誰もがわからなくなってしまったのです。」 「う〜む、、それは困りましたな。しかしながら、我らアカルイナ公国の領土は、すべて我らのものです。絶対に、奴らの自由にはさせません!」 「当然です。よその家に勝手に入り込み一部屋を占拠して、ここは俺の部屋だなどという居候は、どう考えても理不尽です。まして、もともとその部屋にいた子どもを惨殺して、そんな、めちゃくちゃことを言われて許す親がどこにいるでしょう!」  アカルイナ公爵は黒い顔に脂汗を滲ませながら大声で賛同しました。 「その通りです。私は、そんな残虐極まりない行為を扇動する、ぶ〜ちゃん大統領など焼豚にしても飽き足らないと思っています。」    ヤブにこ先生は、優しく微笑んで言いました。 「僕も、残虐な戦争を心から憎みます。けれども、向こうが、コチラを焼き鳥にしたからと、コチラが向こうを焼豚にしてしまったら、どちらも悪魔になってしまいます。アカルイナ公爵は決して悪魔になってはいけません。堂々と正しいことを主張するためには天使でいなければなりません。」  アカルイナ公爵は涙を浮かべて訴えました。 「そうしたい。私だって、そうしたいのです。ただ、今、こうしている間にも、たくさんの仲間たちが殺されている。それを防ぐには、理不尽な攻撃に対抗して理不尽な反撃をするしかないのですよ。」  やぶニコ先生は、優しい声で『アカルイナの子守歌』を歌い始めました。 5d451d02-5511-4dd3-ab3c-e2e75f01afe7 ♫ 森のカラスが 言いました   私は 平和の 見張り役   卵も 子どもも 安らかに   楽しい夢見て ねんねしな   カァカァ カラスの子守歌  アカルイナ侯爵も、つい歌声に誘われて歌い始めました。    侯爵は歌いながら、平和だった日々の幸せな想い出が胸に蘇り、思わず涙が込み上げてきました。  ヤブにこ先生は毅然として言いました。 「この3つの作戦を成功させ、必ず戦争を終わらせましょう。音楽作戦を成功させる方法はただ一つ。誰かが歌を歌い始めたら、みんな、いっしょに大きな声で歌うこと。それだけです。そこにいる人々が知っている歌、歌いたい歌を、みんなで合唱するのです。地域ごと集団ごとに歌のリーダーを決めて下さい。誰もが知っている楽しい歌を何曲か準備して下さい。その時が来るまでに!」 「その時!その時とは、いつでしょう?」 「1週間後です。1週間後の日曜日、3つの作戦を同時に発令します。それまでに、3つの作戦を成功させるための準備をしましょう。侯爵には『替え玉作戦』と『音楽作戦』の準備をお願いします。僕はそれまでに『地球の神秘作戦』の準備をします。」      
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