二章

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「……?」  そう。 どうしてか、パズルの(ふち)を囲う外枠のピースだけが封入されていなかったのである。 絵柄だけ(あげつら)えば完成といえなくもないが、外枠が無いのでは締まりが無く落ち着かない。  四季森さんの入れ忘れだろうか。  ピースの凹凸で縁取られた不恰好な絵柄をなんとはなしに指で撫でていると、もう一箇所、ピースが欠けているの発見した。 「あいつの顔も無いな」  気味の悪いことに、笑顔を浮かべていたであろう飛翔の顔部分は空洞で、ホラー映画に登場していてもおかしくはなさそうだった。  秀斗は作品の完成を喜ぶべきか否か迷い、同梱されていた(のり)も塗らないでおいた。  ひょっとすると後日改めて郵送されるのかもしれない。  今は取り敢えず、第一フェーズ終了を祝って眠ることに決めた。
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