二章

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「示唆に富んでもいるんですね」 「大仰に言ってしまうとそうなります。 ちなみに顔のピースが無いのは、表情によって世界観を固定しないためというのが理由の一つでして。 モデルの皆様がどんな表情を浮かべているか想像する楽しみも、本アートの醍醐味であると思っています。 無論、お客様の要望に合わせて不足ピースの郵送も承っております」  最後は商売人らしくパズルのコンセプトを語り終えた舞花は、ちらっと秀斗の表情を窺って恥ずかしそうに手を組んだ。 「……まあ、私がお話ししたコンセプトはパズルを収めた箱に同封していたかと思いますが」 「えっ」 「ひょっとしたら、風で飛んで行っちゃったのかもしれませんね」 「すみません……確認不足でした」 「いえいえっ、お構いなく。 私も久し振りに自分の口で語ることができて良かったですから。  ──ところで、撮影のモデルになってくださった弟さんはどうされていますか。 喜んで頂けたのなら幸いなのですが」  まさか未披露ですとは口にできず、「喜んでいましたよ」と嘘を吐いておいた。 舞花は安堵の吐息と共に胸を撫で下ろし、 「安心しました。 たしか退院祝いの一幕でしたよね。 弟さんの怪我が早く完治することを私も祈ってます」
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