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最近のルーティンは、仕事と小説の往復である。
仕事は卒なくこなし、帰宅後は夕食と風呂を済ませ終えるや部屋にこもって小説を書く。 応募を決めた公募の締切は既に二ヶ月を切っており、休む間のない馬車馬のように指を動かしていた。 だけど苦しくはなかった。
狂おしいほどの焦燥は、むしろ秀斗を焚き付ける。
何も産み出せずに路頭に迷う焦りとは違うのだ。
『来週、いったん家に帰るよ。 報告したいことがあるんだ。』
そのメッセージに気付いたのは、実際に飛翔が実家に帰ってきたときだった。 それほどまでの集中力に我ながら驚くと共に、飛翔の報告とは何だろうかと、秀斗は薄ら生えた顎髭をさすりながらリビングへ降りた。
「あっ、ひょってしてお兄さんですか? どうも、初めまして」
これまで聞いたことのない瑞々しい声に秀斗は虚を突かれた。 綺麗なソプラノは母親から発せられたものではない。
そして困惑する秀斗の前には、一人の若い女性が栗色の髪を揺らして頭を下げていた。 ぽん、と肩に飛翔の手が置かれる。
「彼女なんだ」
「……あ、ああ、そう」
カノジョ、彼女、飛翔の、パートナー。
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