ニアミスする、夫婦

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「もうすぐ私の誕生日なの」 濃密なセックスのあと、京子が悪戯に微笑む。 この女は、小悪魔だ。 もう会わないと決めたのに、こうして今も逢瀬を重ねている。 危険だと分かっていながら、どうしても惹きつけられる自分を抑えられなかった。 「プレゼントっていっても、欲しいものはなんでも手に入るだろ?」 「でも…」と、俺の目を覗き込む。 「あなたは手に入らないわ。あなたは、可愛らしい奥様のものだから。ちょっとしたパーティーをするから、あなたにも来て欲しいの」 「分かった」と返事をしたものの、いざ来てみたら大勢が京子の元を訪れていた。 すぐに帰ろうと踵を返すが、蛇に捕まってしまう。 「このマスクをすれば、誰か分からないわ」 それは、舞踏会でつけるような目元を隠すマスクだ。 「いや、でも…」 「安心して。ここは飢えた人妻しか来ないから。心が清らかで疑うことを知らない天使は、ここに足を踏み入れることはできない。もちろん、瑞穂さんもね」 そう言われ、気乗りしなかったが試しにマスクをつけてみる。 不思議なもので、マスクをすると別人になったような気がして、刺激を受けるとも事実だ。 俺だとバレることもないし、割り切って遊ぶならいいだろう。 京子のキスが皮切りとなり、不倫舞踏会が始まった。
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