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「いただきます」
レンチンしたパスタを食べながら、観るともなくワイドショーを観ていた。
ここ最近は、芸能人の不倫で持ちきりだ。
子煩悩で売っていた俳優が、若い女優と不倫関係にあったと、テレビだけでなく世間が騒ぎ立てている。誰もが妻に同情的で、鬼の首を取ったようにSNSで責め立てて──。
コメンテーターが訳知り顔で、あれこれと他人の家庭について言及するので、テレビを消した。
「下らない」
思わず呟きが漏れる。
どうして不倫なんてするのだろう?
将来を誓い合った伴侶を裏切るなんて、それならいっそ離婚すればいいのに。どうしても愛欲に溺れたいなら、シングルになって謳歌すればいいじゃないか。
不倫__それは、既婚者が不貞を行うこと。
甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻では飽き足らず、でも妻を失いたくないなんて、図々しいにも程がある。
しかし、私には縁のないことだ。
なぜなら──。
ちょうど、スマホにメッセージが届いた。
『今日の飯、なに?』
それは、文也からのメールだ。
結婚して2年、私の夫はお昼のメールを欠かしたことがない。
献立を尋ねるときもあれば、上司の愚痴だったり、自撮りだったりと、どれも大したことない内容だけれど、こうして送ってくれるのは気遣われているようで、素直に嬉しい。
『今日は、ロールキャベツ』
夫の好物だ。
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