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やっぱり、神様は俺の味方だ。
このタイミングで瑞穂が俺の子を身ごもったということは、俺たちに『夫婦』でいろという証だろう。
「生きてるうちに孫が抱けるのね!?」
節子は手放しで喜んでいるが、瑞穂はどこか虚ろな表情をしている。
それからも俺は、あまり元気のない身重の妻を懸命に支えた。
ヘルパーを家に入れて瑞穂の負担を軽減し、俺自身もできる限りのサポートをし、出産に向けて万全の体制を整えていく。
子どもさえ生まれてしまえば、もう何も心配することはない。
「育休を取ろうと思う」
そう宣言する頃には、瑞穂もかなり雰囲気が柔らかくなっていて、やや膨らんできたお腹を触るくらいは許してもらえるようになった。
当たり前だろう、俺の子なのだから。
「これ、服を買ってきたんだけど」
「服って…まだ男の子か女の子か分からないのに」
「だから両方さ。残ったほうはまた、次の子に取っておけばいいだろ?」
何気ない振りを装って言ってみたが、瑞穂は気まずい顔をした。
まだ早かったか…。
けれどお腹の子は着々と大きくなっており、この家で俺たちの子を産み、育てる未来が確実に待っている。
子どもさえ産まれたら、瑞穂の固い心も解されて、今度こそ本当の夫婦になれるはずだ。
きっと、本物の夫婦に。
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