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「うわっ、広い!」
「12階だから眺めも最高じゃん!」
久美と翔子は、小学生からの同級生だった。
社会人となり気心が知れる間柄となり、こうして新居に招待して昼飲みする流れに──。
「はい、瑞穂が食べたいって言ってたチーズケーキ」
ひと通り家の中を散策し終えると、久美からの差し入れを受け取った。
久美はで唯一の独身、大手電子機器メーカーでOLをしていて、流行りには目ざとい。しかし、3人の中では天然というか、どこか妹的な存在だ。
「私からはワインね」と、翔子がワイングラスを掲げる。
私と同じ既婚者で、すでに小学生の子どももいる翔子は昔からリーダー気質があり、すべてにおいて先輩だった。
「それより瑞穂、姑とはどうなの?」
早速、ワインで乾杯するとガールズトークが始まる。
とはいっても、最初のテーマは『姑』なので年齢層の高さがうかがえるが、32歳なら相応かもしれない。
「うん、なんとかうまくいってる。今日もお花の稽古とかで居ないし」
「それならいいけど、私は絶対に姑との同居は賛成できない。だって、嫁っていうのは最愛の息子を横から奪った敵なんだから、一緒に住んでうまくいくわけないでしょ?」
翔子の言葉は、実感が含まれているから重たい。
「そこは、文也が間に入ってくれるし」
「…いい旦那だこと」
そう言うと、ワインを一気に飲み干した。
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