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いいんだよ
「そっか・・・色々大変だな」
やや俯きながら父は呟いた。
「はい 刺し盛と冷2合ね」
良いタイミングで料理と酒が運ばれてきた。
「ま 今日はゆっくり飲もう」
おちょこに日本酒を注ぐ。
そう娘は1週間前に、シングルマザーになったらしい。
突然の報告に困惑した父だったが、
娘の「子供のためを思うと、絶対1人で育てたほうがいい」
という言葉に強い意志を感じたためその時、深く聞くことは出来なかった。
あらかた、旦那の浮気か借金などが原因なのだろう。
今日はそのことを聞くための酒の席だし、向こうも話してくるだろうと思っている。
昔から何かと父を頼ってきた娘だ。そして今まで父と娘の間には何でも話せる
強い信頼関係があると確信している。
娘から本題を広げてくるのをもう少し待ってみよう
「ねぇ お父さん」
ほら来た。娘は何かを伝えたいとき、いつもこの会話の入り方をしてくる
「ん?なんだ」
何でも言ってごらん。成人しても娘は娘だ。ましてやシングルマザー。父親を頼っていいんだぞ。
「死体の隠し方って知ってる?」
今日から私は共犯者になる。
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