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いつもの公園
そろそろ来る頃かしら。いつもの公園で待ってみる。
久仁彦さんと一緒にお昼ゴハンを食べることが日課になっている。朝早くから仕込んだ自慢のお弁当を持ち、この公園で時間を過ごすの。ここの公園は、私のおうちから歩いて十分くらいのところにある。
広い芝生や木のベンチ、樹木が等間隔で立ち並ぶ、素敵な公園。穏やかな空間が休憩にはもってこいの場所となっている。雨が降ったら東屋に入って過ごすこともできるから、とってもいい場所。
今日は、七月に入ったばかりなのに、涼やかな風が走る心地の良い日。だから芝生の上にシートを広げてランチにしよう。今朝のテレビで、本日のラッキーカラーはピンクと言っていたので、マイメロちゃんのシートを敷いて久仁彦さんを待つ。
──久仁彦さんったら遅いな。
日に日に待ち合わせ時間より遅くなっているのは、お仕事頑張ってくれているからだよね。私のために、ありがとう。私は私で、結婚の知識も料理も溢れるほど身につけているから安心してね。もう、こぼれ落ちているぐらいだから、早くプロポーズしてほしいな。
──。
今日はなんだか子供たちが多い。昼下がりの時間だから、遊びに出てきているのかな。
かわいい子達。
でも。
私と久仁彦さんとの子供だったら、この子達より遥かに出来のいい、かわいい子に違いない。
結婚したらすぐに子供? いやいや新婚生活は堪能しなくちゃね。でも毎日求められたらすぐに子供ができちゃいそう。ほどほどにしないと。
やだ、私ったらこんなにいやらしかったかしら。
ていうか、最後に触ってくれたのっていつだっけ?
あ、来た♪
久仁彦さんの運転する大きなトラックが公園脇に停まった。黄色いランプを点滅させている。
トラックから降りてくる姿がかっこいい。鍵を締める仕草もかっこいい。すぐには気づかないフリをしながら、こちらに向かってくる姿もかっこいい。なかなか目を合わせないところなんて、もう最高。
久仁彦さんは、私の恋心に花を咲かせる天才だわ。昨日ママに買ってもらった花柄のワンピースが、より一層私の心を表しているよう。
七月の太陽とは思えない柔らかな日差し、その中を、真っ直ぐ私の元へと歩んでくる久仁彦さん。
結婚してもきっと変わらない風景なんだろうなと思えて仕方がないわ。
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