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「それで、そんな俺に対して何か思うことがあるの?」
「休んで。真都は俺が見てるから。たまには一人の時間が必要だと思う。」
「要らない」
「……どうしてそんなに頑ななんだ」
「俺は真都のお母さんだもん。お母さんに休みはないんだよ。……俺ももっと頑張らないと。」
そう言うと彼の眉間にぐぐっと皺ができた。
少し怒った様子の彼が、深く息を吐く。
「真樹、申し訳ないけど、真樹がその考えでいるなら、俺と真都はしばらく親父の家に行こうかと思う。」
彼の顔があまりにも真剣で、冗談じゃないことが分かる。
それはつまり、出ていくということ……?
「な、んでそんなこと言うの……」
「自分自身を蔑ろにしないでくれ。いいお母さんになろうと頑張りすぎないで。……だからしばらく真樹には休んでほしいんだよ。」
「ぅ……あ、あの、行かないで……。」
寂しくて泣きたくなる。
凪さんに手を伸ばして、そっと服の袖を掴むと、彼の眉がハの字になった。
「頑張りすぎるの、やめれる?」
「……努力する」
小さな声でボソボソ伝えれば、彼は俺の手を取ってじっと目を見つめてくる。
「たまには何も考えずに、のんびり一人でいるのもいいかもしれないよ。さっきはしばらく帰るって言ったけど、今度、俺の両親に真都と会いに行ってきてもいい?」
「……ちゃんと、帰ってきてくれる?」
「うん。ごめんね。感情的になって傷つけるようなこと言った。」
「ううん。大丈夫」
肩の力を抜いて、凪さんにもたれ掛かり、ほっと息を吐いた。
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