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これ、美味しい。
そう思いながら彼のペニスを夢中で舐めて吸っていれば、髪を掴まれやんわりと離された。
「大丈夫?」
「ん、もっと欲しい……」
「……まずいな」
凪さんが服を着直して、急に顔を手で覆って隠した。
どうしたんだろう。太腿に顔をスリスリと擦り付ける。
「そんな事されると、我慢できなくなる。」
「我慢……?」
「ああ。真樹はまだオメガを受け入れられてないだろ?」
「……オメガ」
「そんな状態の真樹は抱けない。」
俺がオメガ性を受け入れたら、彼は俺を抱く?
俺が、アルファに抱かれる……?
「っ……」
体温が一気に奪われた気がする。
……まだそれは受け入れられない。
頷いて「ごめんなさい」と言い凪さんから離れる。
精液を摂取したからか、思考もまともに戻ってきた。
「謝らなくていい。初めての発情期は辛いものだって聞く。ただ抑制剤も精液もその場しのぎでしかない。効果が切れたらまたさっきと同じようになる。」
「……抑制剤飲みます」
「そうしてくれると有難い。」
治まった今のうちにお風呂に入ってしまおうと、凪さんに案内されて一人でゆっくりお湯に浸かる。
脱衣所で服を脱いだ時、下着が濡れていて驚いた。慌てて手洗いをして、お風呂に入ってからも下半身を一生懸命洗った。
これがオメガになったってことなのか。
沈んでばかりの気持ち。すでに辛すぎる。
涙が溢れて止まらない。
いつかは母さん達に話さないといけないのに、なんて話せばいいのか、言葉も見つからない。
アルファだと信じて生きてきたのに。
「──真樹?」
「っ!」
コンコンとドアがノックされて驚いた。
返事をすると「よかった」と聞こえてきて不思議に思う。
「あまりに遅いから溺れてたりするんじゃないかって思って……」
「ごめんなさい!」
人様のお家のお風呂を長時間占領するなんて。
慌てて脱衣所に出ると、凪さんはまだそこに居て、俺を見て目を見張った。
「ごめんなさい……」
「いいから、体拭いて早く服を着よう。」
頭からタオルで包まれて、視界がクリーム色になった。
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