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服を着替えてリビングに出ると、飲み物を用意してくれて、有難くそれをいただく。
「体は辛くないか?抑制剤の副作用も出ていない?」
「大丈夫です」
凪さんはすごく心配してくれている。
優しい人だ。こんな素敵な人に死のうとしていたところを見つけてもらえて良かった。
「凪さん」
「うん?」
「見つけてくれてありがとうございます。俺、本当に死のうとしてて、……オメガになってもこんなに優しくして貰えるなんて思ってなかったから……。」
「俺も見つけられてよかったよ。」
また抱き締められる。彼はどうやらハグが好きらしい。
でも、実は俺も同じ。彼にハグされるようになって気が付いたけど、誰かに抱き締められるのは心地良い。
「凪さん、もっと……」
凪さんの背中に腕を回して、離さないでと心の中で思う。
「俺も風呂に入ってくる。ここに居てもいいし、寝室で眠っていてもいいから。」
「……待ってます」
「わかった」
背中から手が離れる。それが嫌でぐっと腕に力を入れると、凪さんは苦笑して頭を撫でてくる。
「まーき」
「凪さん、もっとハグして欲しいです。」
「何だか凄く甘えたになったね?」
「……凪さんが甘やかしてくれるからです。」
まだ出会ってそんなに経っていないのに、どうしてだろう。こんなにも彼に甘えたくなる。
俺がオメガで、彼がアルファだから?
それとも、元々俺はこういう性格だった、とか?
……いやいや、ないない。
「じゃあ、真樹が眠るまで隣にいようかな。」
「……眠ってもです。」
「まあ、風呂は朝に入ればいいか。」
ひょいっと重さなんて感じてないみたいに俺を横抱きにした彼は、寝室に向かって歩き、俺は着いたベッドに降ろされた。
隣に寝転んだ凪さんに擦り寄る。
顔を上げると切れ長の目が俺を見て、その目元を撫でた。
「凪さんの目、切れ長で格好いい。」
「そうか?よく目つきが悪いって怖がられる」
「まあ、確かに、凪さんのことを知らない人は怖いかもしれないですね。俺も最初見た時ドキってしました。でも助けてくれたし、優しかったし、怖くない。」
いい匂いがする。
凪さんの匂いだ。
「ん、ん……凪さん、熱いよ……」
「薬飲もう」
いつの間にか寝室に置いていた抑制剤を飲まされる。
抱き締められて、背中をポンポンと撫でられると、いつの間にか眠りに落ちていた。
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