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「夜中は本当にすみませんでした。」
「気にしてない」
床に額をついて深く深く謝罪する。
凪さんは笑って俺を立たせようとするけど、俺はどうしても自分を許せない。
オメガが嫌いだった。その一番の理由は、中学生の頃発情期になったオメガに誘惑されたから。
今にも俺の服を脱がせようとするオメガが怖かった。
そんな思いをしたはずなのに、俺は夜中に凪さんの服を脱がすどころか、勝手に……。
「オメガの発情期は、オメガ自身ではどうにも出来ないんだ。俺がいたから薬を取れなかったんだろうし、真樹は何も気にしなくていい。」
「……」
彼の優しさに泣きそうになって、堪える為に床に頭突きをした。あまりの痛みに違う涙が出てきたけど。
「真樹!?」
「もうこんな事ないように、ちゃんと自分のことコントロール出来るようになるので……!」
「そ、それより、頭!頭ぶつけて……っ」
「迷惑かけないようにします!!」
「赤くなってる!おでこ、冷やさないと……!」
真剣に凪さんに言葉を伝えるのに、凪さんは慌てた様子でキッチンに行って保冷剤を持ってくると、俺の額に押し当てた。
「凪さん、聞いてますか。」
「聞いたよ。聞いた!でも真樹が急に……」
「あ、痛いです。あんまり押さないで……」
力が強い。痛いと伝えると弱まって、凪さんを見上げた。
「凪さんは番を探してたって、言ってました。」
「え?あ、ああ、そうだね。言った。」
「俺の人生をちょうだいって。」
「うん。欲しい。真樹が許してくれるなら番にしたい。」
保冷剤を離して、冷たいそれをぎゅっと握る。
「俺は死のうとしてたから、どうせもう希望も未来も無いって思ってたから、凪さんに助けられて、こうして良くしてもらって……オメガだけど、まだ希望を持っていてもいいんだって、思いました。」
どうせどう足掻いたってアルファには戻れない。
それなら、オメガらしく、アルファに愛される道を選んでもいい気がする。
「……ただ、まだ完全に受け入れられたわけじゃないんです。それに、両親が何て言うか……。俺だけならまだしも、凪さんに何か嫌な思いをさせてしまったらと思うと、まだ番にはなれません。」
「勿論。急かすつもりは無い。一緒に過ごす中で真樹が許してくれた時、俺は真樹と番になりたい。」
額を撫でられる。
彼は「タンコブになってる」と言って苦笑し、俺の手から保冷剤を取った。
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