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発情期前は何かと体に変化が起きる。
少し疲れっぽくなったり、気分の浮き沈みが激しくなったり。
俺はどちらかというと精神的にまいってしまう事が多くて、朝起きて動くことが出来ず、ベッドに座ったままでいた。
「真樹ー?そろそろ起きないと遅刻するよ」
朝ご飯を作り終えた凪さんが寝室に戻ってくる。
掛けられた声にも返事する気にならず、膝の上にある自分の手を見下ろしてぼんやりする。
最近してしまった小さなミスや、過去にあった嫌なことばかりを思い出し、胸の中はマイナスな感情で埋め尽くされていた。
「真樹?どうかした?体調悪い?」
そんな俺を心配して傍に来た彼は、顔を覗き込んでくる。
最近では全く思わなくなっていたのに、今日は寝起きの間抜けな姿を見られたくなくて顔を背けた。
「大丈夫?」
「……」
「……あ、発情期前か。」
凪さんがポツリと呟いた後、ふんわり抱きしめられて、何も無いのに視界がじんわりと滲んだ。
「抑制剤飲もうか。ちょっと気持ちが楽になるかも」
「……」
「持ってくるね。あ、ご飯は食べれそう?」
温かい腕の中で頷く。
彼は「待っててね」と言って俺から離れて薬とご飯を取りに行った。
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