番外編21

2/13
前へ
/428ページ
次へ
発情期前は何かと体に変化が起きる。 少し疲れっぽくなったり、気分の浮き沈みが激しくなったり。 俺はどちらかというと精神的にまいってしまう事が多くて、朝起きて動くことが出来ず、ベッドに座ったままでいた。 「真樹ー?そろそろ起きないと遅刻するよ」 朝ご飯を作り終えた凪さんが寝室に戻ってくる。 掛けられた声にも返事する気にならず、膝の上にある自分の手を見下ろしてぼんやりする。 最近してしまった小さなミスや、過去にあった嫌なことばかりを思い出し、胸の中はマイナスな感情で埋め尽くされていた。 「真樹?どうかした?体調悪い?」 そんな俺を心配して傍に来た彼は、顔を覗き込んでくる。 最近では全く思わなくなっていたのに、今日は寝起きの間抜けな姿を見られたくなくて顔を背けた。 「大丈夫?」 「……」 「……あ、発情期前か。」 凪さんがポツリと呟いた後、ふんわり抱きしめられて、何も無いのに視界がじんわりと滲んだ。 「抑制剤飲もうか。ちょっと気持ちが楽になるかも」 「……」 「持ってくるね。あ、ご飯は食べれそう?」 温かい腕の中で頷く。 彼は「待っててね」と言って俺から離れて薬とご飯を取りに行った。
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4021人が本棚に入れています
本棚に追加