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そう言って笑う彼に申し訳なく思うのと同時に理解があってよかったと心の底から安心した。
フロアに着いて早速仕事をし、お昼休憩に入ったあと、眠気と戦いながらパソコンを睨みつける。
気がつけば意識が飛んでいることもあったけれど、何とか目をこじ開けて。
■
退勤時間まであともう少し。
それなのに段々と気分が沈んでいく。
薬の効果が切れたのか、突然スイッチが切られたかのように集中力が切れて手が止まった。
帰りたいのに、動くのが面倒くさくなる。
中林さんは「お先失礼します」と言ってとっくに帰ったのに、俺は動けずにいた。
そんな自分に嫌気がさして落ち込んでいると、仕事を終えた凪さんがやって来て『あ』という表情をする。
その表情がやけに心に引っかかって、ムカッとしながら勢いよく立ち上がった。
さっきまで動くのが嫌だったのに。怒りは原動力になると聞いたことがあるけど、本当なんだなと頭の片隅で思った。
「真樹、薬切れてない?もし切れてるなら持ってきてるから、飲んだ方が楽だと思うよ。」
「いらないです」
「そっか。じゃあ早く帰ろっか」
トボトボ歩いて駐車場に行き、助手席に座る。
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