番外編21

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ふぅ、と溜息を吐くと突然凪さんが俺の体を覆うように近付いてきて、『あ、キスされる』と思って目を閉じたのに待っていた感触は無く、目を開けると俺の後ろにあるシートベルトを掴みカチャと音を立てて付けられた。 「……は?」 思わずそんな声が漏れた。彼はエンジンをかけて車を発進させる。 「シートベルト付けないと帰れないよ。」 「……言葉で言えばいいのに」 「疲れてるみたいだからやってあげたくなって」 「ひどい」 「え、何かしちゃった?」 ジッ……と横顔を見ていると、彼の口角が上がっているのがわかる。確信犯だ。俺で遊んで楽しんでるんだ。 凪さんの言葉をまた無視してフンっと顔を背け、窓の外を眺めた。 家に着いてすぐ、部屋着に着替えた俺はソファーの上で膝を抱えて座った。 凪さんは早速夕食の準備に取り掛かっている。 お風呂は朝の内に洗って、帰宅した頃に湯船が張れるように設定していたようで、明るい音楽が流れた。 音楽が止むと、彼はソファーまでやって来て俺の名前を呼ぶ。
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