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「ご飯、いらないです。俺、もう寝ます。」
「お腹すいてない?お粥とかうどんとか、食べれそうなら今から作るよ。」
「いらない」
「……」
「おやすみなさい」
逃げるように寝室に行き、ベッドに寝転んだ。
俺が悪いのに、泣きそうになって枕に顔を埋める。
すぐ隣から香る凪さんの匂い。思わず枕から顔を上げて代わりに凪さんの枕を抱きしめた。
クンクン匂って、物足りなくなって、クローゼットから凪さんの服を沢山取りだした。ベッドに広げて匂いに包まれる。そうすればスーッと落ち着いて目を閉じることができた。
眠ってからどれくらい経ったのか、寝室のドアが開いた音がして意識が浮上する。
僅かに隣が沈んで、彼がそこにいるのがわかり、寝返りを打って凪さんに手を伸ばし、腰に腕を回した。
「あ、真樹、起きちゃった……?」
「ん……」
「巣作りしたの?上手だね」
「ん、ゃ、触らないで、やだぁ……」
「触っちゃダメなの?」
「ん」
撫でられるのが嫌で手を叩く。
凪さんは低い声でククッと笑った。
「俺も寝ようと思うんだけど、少しだけ服を退けていい?」
「……だめ」
「だめか。んー……じゃあリビングで寝ようかな。」
「いや!」
彼は笑ったままで何も言わない。
段々と目が覚めてきて、凪さんを見上げる。
穏やかな表情で俺を見下ろしていた。
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