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こんな時って、恋人を頼ってもいいのかな。
ふとヒロ君の顔を思い出して、スマートフォンを手に取りメッセージアプリを開ける。
何て打とうか悩んでから、スタンプをひとつ送ってみた。
直ぐに既読がついて、何か返事が来るかなと思っていたのに電話がかかってきた。
「あっ、もしもし……」
「蒼太?今家にいるの?スタンプだけ来たからどうしたのかなって思って電話かけたんだけど……」
「うん。家にいるよ」
返事をすれば、少しだけ流れた沈黙。
どうしたんだろうと思って口を開けたのと同時に「何かあった?」とさっきよりも心配するような声色で聞かれた。
「……」
「大丈夫?」
「……ヒロ君、今から、会える……?」
「もちろん。すぐ行くよ。家で待ってて」
「……うん」
電話を切ってまた一人に戻る。
けれどすぐに来てくれると言っていた。ほんの少しの我慢だ。
静かな空間よりマシだとラジオ代わりにテレビをつけて、彼が到着するのを待った。
しばらくしてインターホンが鳴り、ノソノソ起きて玄関を開けた。
そこには息を切らしたヒロ君が居て、手にはたくさんの荷物を持っている。
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