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「ヒロ君?」
「……あのさ、蒼太に恥ずかしい思いさせた代わりに、俺も恥ずかしいこと言うね。」
「え、いや……別にそんなことはしなくていいけど……」
そう言ったのにヒロ君は止まることなく、俺と目を合わせる。
「蒼太のフェロモン嗅いで、我慢はしたんだけど、俺も結構限界です。」
「え……」
「薬飲んで落ち着いた時に言うことではないってのはわかってるんだけど……」
「……シたいの?」
「ん」
髪から覗く耳が少し赤い。
あまりにも可愛くて、彼の背中に腕を回して強く抱きしめる。
「いいよ。シよう?僕もシたい」
そう言って頬にキスをすれば、ヒロ君は俺を抱っこしてベッドに連れて行く。
ボスンと体が布団に埋まり、上に覆い被さってくる彼は余裕の皮を剥がして切羽詰まったような表情をしている。
そして唇同士を合わせた。
■■■
唇に柔らかいものが触れる感覚がした。
体が甘い怠さに包まれている。
身動きが取りにくくて目を開けると、ヒロ君に抱きしめられていた。
まだ眠っている彼は、穏やかな表情をしている。
「……ヒロ君」
意味も無く名前を呼ぶ。
顔を近づけてキスをして、もう一眠りしようと目を閉じる。
「──え、蒼太さん。一回だけですか。もっとしてほしいんですけど」
「っ!起きてた!」
驚いて大きな声が出た僕を、彼はジッと見ている。
「起きてます。なんなら俺がキスしてすぐ蒼太が起きたから驚いたよ。まるでプリンセス」
「……朝から、すごく喋るね。」
「あ……、ごめん……。」
ムグッと唇を隠して目を逸らした彼。
それにプッと笑うと、ヒロ君もつられたようにケラケラ笑う。
「あはは!……あ、蒼太」
「ん、何?」
「おはよお」
「ふふっ、おはよう」
それはそれはよく晴れた気持ちのいい朝だった。
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