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「楽しいならいいけどさぁ。連絡だけはしてよ。家に来るって言ってたのにこないから不安だったよ。」
「……ごめんなさい」
「……ううん。いいよ。よし。怒るの終わり。とりあえず蒼太はお風呂入っといで。ご飯は?食べた?」
「食べてないよ」
焦って帰ってきたから、ご飯どころじゃなかった。
ヒロ君に促されるままお風呂場に行き、シャワーを浴びる。
怒ってるヒロ君。迫力が凄くて怖かった。
肩を掴まれたのは痛くて、あんなに強い力は正直初めてだった。
それだけ心配をかけてしまったんだなと深く反省してお風呂から出ると、僕を待っていたヒロ君はギョッとした顔をして駆け寄ってきた。
「え、どうした、体調悪い?吐きそう?」
「……ヒロ君」
「ん、何?あ、もしかして俺怒りすぎた……?ごめん、怒鳴ったりしちゃったから気分悪いよね……」
「あ、違う違う!僕が悪いんだからヒロ君は謝らないで!心配かけすぎちゃって、反省してます、本当……。」
視線を合わすことができなくて俯くと、ヒロ君が僕の手を取って「そこまで反省しなくていいよ!」と慌てた様子を見せる。
「蒼太だって社会人じゃん!働いてお金稼いで、そのお金で朝まで楽しむことは悪いことじゃないし……。」
「だって連絡しなかった」
「酔っぱらっちゃったんでしょ?普段ならしてくれてるよ。まあ……怒った俺が言うのも変だけど、たまにはそういう事があってもいいんじゃない?ストレス発散だよ。」
「ヒロ君はいつも連絡くれるのに」
「んー……あ、じゃあさ!今度は俺も連れてってよ。それなら蒼太がベロベロになっても安心だろ?」
優しい彼はそう言ってニコニコ微笑む。
たしかに。今度は真樹だけじゃなくて、ヒロ君も……よかったら専務にも来てもらえばいい。
「ね。反省は終わり。解決策見つかったんだしご飯食べよ。俺おにぎり作ったよ」
「え、ヒロ君が……?」
「俺だっておにぎりくらい握れる」
「ちょっと……感動した。ありがとう」
手を引かれ、席に着く。
少し歪な形をしていたけれど、そのおにぎりは優しい味がしてとても美味しかった。
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