私は…

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私は…

気づいたら私は上から地面を見下ろしていた。 空ほど高いという訳でもなく。 だからといって人ほど低いわけでもない。 人より少し高いくらいの位置から見下ろす感じ。 (ここは…どこだろ…私は確か…) そう。 私は確か自殺をしたはず。 (んー…ここはどこだ?私はどうなったの?) 周りを見渡してみる。 すぐに分かった。 (なーんでまたここに…) そう。 私が死んだ場所。 私が選択してはならない死を選んでしまった場所。 (はぁ…嫌だなぁ…思い出したくないなぁ…) そう思いつつも今度は私が今どんな状況に置かれているのか観察してみる。 どうせ動くことができないし。 まず目に入るのは地面。 下を向いているからか。 上を見上げてみる。 右、左。 ゆっくり周りを見る。 ちらちらとピンクの小さな花びらが降っている。 とても綺麗だ。 これは… (桜?) 桜だ。 私は桜が好きだから… 死に場所も立派な桜の木の根元で死んだんだ。 大量の薬を飲んで… え??首吊りじゃないのかって? いやいや。 桜の木に縄とか紐通すの?? 枝が傷つくじゃん! 私の重い体重でさ! 嫌だよそんなの! 私は静かに死にたかったし。 だから大量の薬を手にゆっくり花見をしながら飲みつつゆっくり目を閉じたんだ。 で、今現在。 私は死んだ場所にいる。 それは分かった。 桜の木だということも分かった。 で、だ。 私は… (まさかねぇーまさかねぇーまーさーかーねー。ありえないでしょ!) と叫びつつぐいっと思いっきり下を向く。 そしてぐいっと思いっきり上を向く。 (私……!!私!!桜なの~~~!?!?!?!?)
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