みずほ先輩と俺、広報誌取材で女優さんに怒られる

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★ 俺とみずほ先輩は、話題のドラマの主演たちと並んでモニターを見ている。 モニターにはサイドアングルから映されるふたりの憂いた表情。あたかも恋の終わりを匂わせているような憂いがある。そして奥には俺たちふたりが映っている。 みずほ先輩は鼻の頭に白いクリームをつけて怒りだした。それからクリームを拭き取られ、顔を赤らめて慌てふためく。 「こんな映像、使えるわけないじゃない!」 「まあまあ、次も見てみましょう」 桜木さんが鈴音さんをなだめる。 次のテイクではみずほ先輩が俺に向かってクリームを噴き出すシーンが映っていた。困り顔の俺とは対照的に顔を真っ赤にして悶絶している。しかし、このひとはほんとうによく赤くなる。 「こっちもろくな映像じゃないわ。――それで桜木さんは何が言いたいの? 何もなければ私、帰りますね」 鈴音さんはモニターから視線を切ってきびすを返す。 桜木さんが優しげな声で鈴音さんの背中に語り掛ける。 「彼女の笑顔、鈴音さんの若い頃にそっくりだ」 鈴音さんが、えっ、と声をあげて振り向く。桜木さんは鈴音さんの顔を見てかすかに笑みを浮かべる。 「高校生の頃の鈴音さん、表情が豊かで、モニターの中でもすごく映えていました。僕が芸能界に憧れたのは、あなたの演技を見て感銘を受けたからなんです」 「えっ、そうなの……?」 鈴音さんの顔から怒りが一瞬にして引いてゆく。俺は互いの表情を目で追っていた。 「だからこのドラマの撮影、僕はすごく楽しみにしていたんです。でも――」
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