みずほ先輩と俺、広報誌取材で女優さんに怒られる

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★ みずほ先輩と俺に用意されたのはカフェテラスの一角にある白い円卓。 場面の雰囲気作りのため、画面の隅っこにカップルを映したいとのことらしい。 けれど制服姿でそんなことしていいのか? 「あの、俺たち高校生っす。親も学校も承諾してないっすよ」 「構わねえ、すみっこの方なんざ誰も見ねえ。それにこんな貴重な体験を逃していいのかよ。よくないよな?」 いやおうなしに断る路線が塞がれる。 「いや、誰もやるなんて言ってないっす」 「凝った演技はいらねえ。カップルらしく振る舞っててくれればいいからさぁ」 カフェショップの店員がてんこ盛りのフルーツパフェをふたつ運んできた。 それらが指定の円卓に置かれる。その瞬間、みずほ先輩が振り返り拳を握りしめる。 「かつき君。やりましょう!」 ごくっと喉を鳴らして意思を表明した。 「みずほ先輩、今絶対、パフェを見て意思が変わりましたよね」 「そんなことはありません! 最初から助けてあげたいと思っていました!」 みずほ先輩はドヤ顔で俺に訴える。 「……まあ、食ってるだけでいいなら」 「こほん、妥当な判断ね。これも社会貢献よ」 そういうとみずほ先輩はくるりと背を向けて小さなガッツポーズをとった。
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