魔法少女☆れいさ

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『まほうしょうじょになると、おにいちゃんに好きになってもらえるの?』  玲紗は言いながら、俺の横に座り込んだ。じっと見つめられ、何だか照れた。 『や、魔法少女だから好きってわけじゃないよ。でも、魔法少女っていうのは大きな魅力だな。すごいんだぞ。空だって飛べるんだ』  やや興奮気味に言えば、玲紗はすくっと立ち上がった。 『きめた。わたし、まほうしょうじょになる!』  目指したからと言ってなれるものじゃないが、可愛らしい目標だと思った。兄として、妹の夢を潰したくはない。こんなに可愛い夢を応援することが悪いはずもない。 『そうか。じゃあ頑張って、すごい魔法少女になってみろ』  俺はにこやかに目を細めた。本心で、可愛いなあと思ったからだ。 『うん、やくそくする! わたし、今日からすごいまほうしょうじょになる! そして、おにいちゃんにもっと好きになってもらうの。わたし、がんばるから!』  妹がこんなことを言うのも今のうちだろうなと思った。小学校に上がり、好きな男子でもできれば(てのひら)(がえ)しで俺のことを()けるようになるだろう。実際に年の近い妹がいる友達は、「喧嘩をするどころか無視だよ無視」と嘆き、「喧嘩ができればまだいい方だ」と肩を落としていた。俺に好かれるために魔法少女を目指すなんて、本当に今だけのことだと分かっていた。長くても二年ともたず諦めるだろう淡い夢。近い未来には、アニメの魔法少女に惚れた俺を馬鹿にするに違いない──そう思っていた。
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