牢の中のつぶやき

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牢の中のつぶやき

(わたくし)は、父王に幽閉されております。   もう、幾夜経ったのか。それすら気にならないほど、今の暮らしに慣れてしまいました。   城の片隅にそびえ立つ塔が、私の住みかであり、罪人が閉じ込められる場所。   お恥ずかしいことに、城で生れ育っておりながら、私は、この場所のことを知りませんでした。   城には、幾つもの塔があり、その各々の役割りなど、特に気に止めていなかったからなのです。   私が居る塔は、外から眺めれば、石を積み上げた細長い柱の様なものですが、中は以外と広く、私が閉じ込められられている部屋以外に、まだ、数部屋有るようです。   完全に遮断されている私には、憶測でしか判断できませんが、少なくとも、隣に、誰か囚われているのは確かです。   時折、冷たい石壁越しに聞こえる、鎖の音──。ずるずると、引きずる重い音──。   おそらく、足枷をかけられ、鎖で繋がれているのでしょう。   きっと、殿方。力任せに、守衛に襲いかかるかもしれないと、要心してのことでしょうか。   それとも、動きを制するほどの極悪人?   どの様な素性の方でも良いのです。   隣に、誰かが居るというだけで、私は安堵できるのですから。
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