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伯爵夫人のつぶやき
まさか、こんなに上手くいくとは、思っていなかったわ。
日頃は、しおらしくしていたのに、あんなに大胆になるなんて。所詮、ただの女だった訳ね。
ああ、あなたのあの歪んだ顔の素晴らしかったこと。
父王の命で、動いた衛兵に、引きずられていく姿は、あの謝肉祭の夜に華を添えてくれたわ。
ねえ、ご存知かしら?貴族の間では、あなたの話しで持ち切りだってこと。当然、私は、知らなかったと、驚きの声を挙げている。
知るも知らないも、すべて、私が仕組んだ事だけれど。ああ、お待ちになって、誤解しないで欲しいの。それを、望んだのは、あなた自身で、あなたが、決めて、動いたのでしょ?私は、ただ、例え話をして、そうして、あなたに、手を貸しただけ。決して、私が、決めた事ではないわ。
もう一度言うわね。どうか、誤解しないでちょうだい。もしも、あの塔から、私を恨んでいるのなら、それは、お門違いと言うものよ。
とにかく、あの日以来、私は、予定通り、あの方から寵愛を頂く事になった。あなたが、いなくなったとたんに、あの方は、私を側に置いてくださったの。
まあ、多少は、手を尽くしたけれど、上手く行ったわ。これが、私の望んでいたこと。
私が、その様な事を企んでいたなんて、あなたは知らなかったのでしょ?
でもね、あなたを、あの塔に閉じ込めるなんて、私は、微塵も思っていなかった。それは、あなたの父王様が、なされたことよ。
私は、欲しいものを手に入れたかっただけ。
そう、あなたが、愛してしまった、あの方をね。
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